第5話 法人化と日本一

個人事業として妻と二人で運営してきましたが、ようやく軌道に乗り始め、週に何回かは義姉に手伝いに来てもらうようになってきました。

 

2003年夏には次男が誕生し、家庭もにぎやかになることもあり、法人化することにしました。

当時は、大きく分けて有限会社と株式会社の2つが設立でき、最低資本金制度というのが存在していました。

有限会社は300万円、株式会社は1000万円。
(現在、有限会社は新設できず、株式会社の最低資本金制度はなくなりました)

税制や対外的な発展を考えると、株式会社がよいようです。

「1000万円って、そんなにないと(会社)できないの?」

有限会社でさえ、ままならない金額で困ってしまいました…
法人化するには、それなりの資金が必要なのかと考えていたところ、
見つけたのです、裏技的な仕組み。

外国法人の設立!

最低資本金のない外国に法人を設立して、その後に外国法人として、日本で登記するというもの。
税制的には株式会社と同等に扱われますが、1000万円が必要ないのです。

アメリカのベビースリング

2003年7月、ハーモネイチャー・インコーポレイテッドを設立して、外国法人登記を無事行うことができました。

ただ、外国法人は管轄が地域の税務署ではなく、国税局直下の管轄となるのでした。
数年後に税務調査で国税局の職員が訪ねて来たときは、ドラマや映画でのイメージが強く、それはもう緊張しました。

 

元々ベビースリングは、ママコミュニティーでの集まりや勉強会、スリング講習会などを通じて広がってきていました。
その頃になると、布とリング、あるいは、布だけでも作成可能で比較的模倣しやすいため、それぞれの趣向を反映した商品がたくさん世に出てきていました。

そんな中、正しく装着できずに落下事故につながったりする事例や、生育に関して医療従事者から注意喚起がなされるようになってきました。

2003年10月には、ハーモネイチャーを含め、スリングの製造・販売会社5社により、日本ベビースリング協会を発足する運びとなりました。
医療従事者の意見を伺いながら、より安全な抱っこ姿勢を提案したり、エコプロダクツなどに共同出展したり、講習会を開催して消費者の意見を集約したりといった活動をしていきました。

その年の年末に、自宅にあった、育児雑誌「たまごクラブ・ひよこクラブ(たまひよ)」や「赤ちゃんができたらすぐ読む本(赤すぐ)」を開きながら、

「これからはネットだけではなく、こういった雑誌に掲載するとよいかもね」
「でも、雑誌の広告掲載料って数百万するみたいだし、手が出ないなぁ」

他社の抱っこ紐などが特集されていて、羨ましく眺めていました。

2004年には、初めてスタッフを募集することになり、法人として別途事務所を構えることになりました。

それから半年ほどして、一本の電話が鳴りました。
「こちらリクルートの赤すぐという雑誌なのですが、お伺いしたいことがありまして…」

話を聞いてみると、
“赤すぐの巻末アンケートを集計していたら、お客様から「なぜハーモネイチャーで売っているスリングは買えないのか」という意見が多数寄せられたとのこと。
「可能なら、販売させてほしい」とのことでした。

偶然とはいえ、願っていたことが実現したことに本当にびっくりしました。

最初は、通販誌面の16分の1くらいの枠に掲載されました。
次の号では8分の1、次の号ではベスト30、次の号ではベスト10、そしてベスト5、・・

その間、いくつかの専門店からも声がかかり、卸売も本格的に開始しました。
スタッフも一人また一人増えていき、順調に売り上げもあがっていきました。

子育て中のスタッフも多く、スリングの使い方をみんなで覚え、 NewNativeスリングの講習会を開催したり、他のベビーフェアなど催事にも出展したりと広報活動をしていきました。

アメリカのベビースリング

また、トイザらスのベビー専門店ベビーザらスへの卸事業の展開では、全支店に赴いて、ベビーザらス店舗従業員へ勉強会も行うようになっていきました。

日頃はネット通販主体なので、スタッフも直接お客様とお会いできたり、意見を伺ったり、忙しいながらもイベントの楽しさも実感し、面白い展開になってきたなと思っていました。

アメリカのベビースリング

2006年12月ついに赤すぐ年間人気ランキングでスリングが1位となったのです!

当時の担当者の話では、広告料(つまり別ページの広告紙面)を出さずにランキング1位になったベビーアイテムはなかったそうで、ランキングが決定したときは、リクルート部署内でもどよめいたそうです。

 

2007年には出荷業務を外部の委託倉庫にお願いすることになりました。

この頃になると、一枚布であることで携帯性・保管性にも優れていて、医療現場でも注目されて、病院の避難グッズとしての採用なども進みました。

アメリカのベビースリング

アメリカのベビースリング

スリング黄金期ではありましたが、売り上げの9割以上を占めていることに不安を覚え始めた時期でもあります。

大手ショッピングモールでは、並行輸入品が出回りはじめたり、真似た商品が売り出されていきました。

そのことに憤慨し、ネットをパトロールしては、文句を言ったり、並行輸入できないようにメーカーと協議したりもしました。
今思えば、その頃は恐れに支配されていたのですね。





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