第12話 新たな領域へ

インドへ視察に行く前の2019年9月頃、取引先メーカーのH社長より訪問したいと連絡がありました。

ハーモネイチャーとは長年の取引があったのですが、縫製工場は秋田にあり、H社長自身は長野の方へ移住されていたこともあり、お会いする機会があまりありませんでした。

H社長は縫製工場の管理者のKさんと共に来社しましたが、近況などを話した後、突然に切り出しました。

「ナユタ事業を年内で辞めようと思っている。…もし可能なら、ハーモネイチャーで引き継いでくれないか」

思いもよらなかった申し出に頭の中は混乱状態です。

nayuta(ナユタ)は、ハーモネイチャーでじわじわと人気が出ていて、 その縫製品質や製品の肌触りの良さから、知る人ぞ知るリピーターの多いブランドです。

ブランドがなくなるということは、もちろん販売をしている私たちも痛手ではありますが、そこで働いている人々も職を失うということなのです。
その重みもさることながら、製造現場を知らない私たちが事業を引き継げるのか不安でもありました。

その後、現状について何度も詳しくお話を伺いながら、妻とともに長野のH社長宅を訪問したり、秋田の縫製工場を視察させてもらいました。

 


お客様の商品への満足度も高く、やはり、このブランドは続けていかなくてはならない。
そう感じたことで、引き継ぐ決心をしました。

そして、心のどこかで新たな挑戦にワクワクしている自分がいるのを感じました。

年末までに急ピッチで譲受の諸手続きを行い、 無事に2020年1月ハーモネイチャー・ナユタ事業部として新たに出発しました。

ちょうどそのタイミングで、世界的に新側コロナウイルス感染症が拡大し始め、何も状況がわからないまま、日本はロックダウンへ向かっていきました。

急遽マスク需要が起こり、ナユタの縫製工場でもオーガニックコットンマスク生産体制を整え、 日々増加するお困りのお客様のために、ひたすらマスクの製造・出荷を行いました。

 

しかし、 横浜の事務所においては、何とかリモートワーク体制を整えましたが、製造の現場である秋田事業所はリモートワークというわけにはいきません。

年始以来の数か月間、感染者0を維持していた秋田県へは、直接足を運ぶことができない状況が続きました。
本格的な活動ができる時期がくるまでは、現状の運営を安定させることを最優先とし、サポートに徹することにしました。

 

2020年4月、コロナ禍が続く中、突如、日本オーガニックコットン協会(JOCA)理事の就任を打診されました。

JOCAは、日本でオーガニックコットン衣料品の普及を進めるべく、国際認証機関と協力しながら啓蒙活動を行っているNPO法人です。
理事長のチームオースリー(メイド・イン・アース)の前田氏をはじめ、アバンティ(プリスティン)の渡邊氏、奥森氏、大正紡績の近藤氏、小林メリヤス(コフク)の木村氏、等々 日本のオーガニックコットン業界を牽引する層々たるメンバーが運営していました。

まだ若輩者で、これといった実績もない私がお役に立てるのかという不安もあり、当初はお断りしようと考えていました。
一方で、日頃から「オーガニックコットン」について一般的な理解がまだ十分広がっていないと強く感じてもいました。

日本のオーガニックコットン業界の発展に、少しでも貢献できる機会でもあり、内側からその可能性を探っていくことへ挑戦してもよいかもしれない、と考えるようになりました。
きっと、製造業にも取り組み始めたハーモネイチャーにとっても、有意義なものとなるだろうと思ったのです。

私自身、決して社交的なタイプとは言えないのですが、意を決して(笑)、5月末にJOCA理事に就任いたしました。

オーガニックコットンの栽培から製品化まで、その取り巻く環境を整理して、
分かりやすい情報提供ができる様、協会の活動に真摯に取り組んで参りたいと考えております。

 






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